中国発見
上海であった日本企業投資相談室の設立発表会(写真)

   picturewen2.JPG (76568 bytes) 元留学生の弁護士らが「日本企業投資相談室」日中経済の掛け橋にと上海に開設
  日本への留学経験を持つ中国人弁護士らがこのほど、投資をめぐるトラブルなど、日系企業からの相談を無料で受け付ける[日本企業投資相談室]を上海市内に開設した。日中平和友好条約締結二十周年記念事業の一環だ。中国国内で中国人による日系企業向け無料相談制度は初めてという。
  関西大学で修士号を得て一九九四に帰国した臧広陵弁護士(四八)を相談室室長に、スタッフ約二十人の大半が日本留学組だ。臧氏の事務所を毎週土曜日に開放し、面接や電話による法律などの相談に応じる。内容によって訴訟や調停などの仲介も引き受ける。
  日系企業の中国進出はここ数年、増え続けているが、法律や慣習の違いからトラブルも多い。そこで、臧氏を中心に「日本留学中に日本政府や大学、民間からお世話になった。その恩返しをするとともに日中経済促進の橋渡しになればと、五月にこの相談室を開設した。
  臧氏らは今年一月から、テストケースとして相談を受け付けた。その内訳は投資問題七件、法律トラブル五件、納税三件、国際結婚二件など。
  中国経済の中心地·上海進出の日系企業は約二千五百社で、外国投資の中ではトップの地位にある。今後も各種相談の増加が見込まれている。
 上海駐在の日系企業幹部らは?中国の経済政策は変更されやすい面があり、こうした投資相談窓口の開設はありがたい。日中両国の経済交流の上で相互理解に役立つ]と歓迎している。


                     1998(平成10)6月9日「東京新聞」より
                                     上海·川村範行